和泉経済研究所

独立系証券アナリストという仕事

松本徹三さん(元クアルコム・ジャパン社長)の自伝ブログが面白い

http://blog.livedoor.jp/matsumototetsuzo/archives/1992722.html#more


ふと読んだ「アゴラ」のなかにあった”松本徹三”という名前が気になり、ご本人のブログから、この「私の履歴書」に辿りつきました。直接はお会いしたことはないですが、あのクアルコムジャパン社長としての松本さんの自伝ということで、長かったですが、一気に読んでしまいました。ご本人は、日経の「私の履歴書」には掲載されるほど功を成していないので自分で書いたと謙遜されているが、十二分、それだけの価値はあると思いました。

商社時代、ベンチャーでの失敗した後に一旦は退職を決意するも、子供の教育を考え、辞表撤回を懇願したくだりや、ソフトバンク孫社長との出会いとその後のやり取りには唸りました。”ネットメディアの成熟”について関心を持ち、70才ちかい年齢からTwitterやブログを始めたというのにも驚いた。

日本の携帯電話端末が何故、国際化できなかったのか、NTTの功罪について考えるためのヒントも多々。自分で考えること、長いものに巻かれないことの大切さも。

「できない」と言わずにやってみろ!


著者の晝馬輝夫氏は浜松に本社を持つ「浜松フォトニクス」の会長。

内容はベンチャービジネス成功の極意から宗教、哲学と多岐に渡り最初は戸惑いますが、引き込まれます。

貫かれているメッセージは、我々が知っていることは、全体のほんの一部、つまり「無知の知」ということと、とにかく七転八倒、試行錯誤しながらやりぬけということ。

何度も読み直したい一冊。


ちなみに同社は浜松出身でテレビの創始者の高柳博士の流れをくむが、博士の直系のビクターは、今はほぼ消滅。この差はなんだろう。おそらく、目線の高低のような気がする。

永遠の0

7月17日の朝日新聞に元自民党幹事長の野中広務氏のインタビューがでていたが、そこで、この本について、本と映画で二回泣いたが、百田氏が安倍シンパであることを知って怒ったといった内容が述べられていた。

私の父は野中氏の3才下であるが、予科練に行った父も全く同じようなことを言っていたような気がする。

本の内容は軍部批判が多く、戦争賛美色は全くない。だが、百田氏は一部からは保守反動、右翼として捉えられているようだ。このギャップはなんだ?

元海軍中尉の「武田貴則」が百田氏が最も伝えたい対象なのかもしれないと感ずる。

そこを隠し、多様性を認めた作品として仕上げたことが、彼の姑息さであり才能と理解すれば納得がいく。

百田氏は放送作家だけあり、幅広い読者層を取り込むことに長けていることに注意が必要(だから本屋大賞も取れたのだろう)。

とはいえ、私は、右か左か、愛国か反日か、といったイデオロギーには、全く興味がない。そうした「感情」はどちらも理解できるがそれを大声で公に議論することには強い躊躇いがある。

政治がいつも、そこで逡巡してしまうことがこの国の不幸。

より多く議論すべきことは、イデオロギーではなく、政府の役割(大きいか小さいか)、競争のありかた(自由か管理か)なのだか。

私は平和ボケなのだろうか。


永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)



エチオピアコーヒー

急にエチオピアコーヒーが飲みたくなって、清澄白河にあるバリスタさんが一人でやっているコーヒーシップ、ARiSEさんに行ってきました。

ありました、エチオピアコーヒー!ここでは、ミルクも砂糖も入れず(普段は入れますが)、ブラックで香りと味を楽しみます。はい、とても美味しかったです!


店主さんと、最近、エチオピアに行ったことや、日本式のコーヒーがアメリカでブームになっているという話をしたら、もうすぐ、このすぐ近くに「ブルーボトルコーヒー」が出店するとのこと。日本第一号が、何故、清澄白河なんだろう。。。ライバルというよりギルドみたいな感じなんでしょうか、「競合が増えて大変ですね」みたいな野暮な質問はしませんでしたよ。

日本の喫茶店文化(コーヒーメーカー、つまりハードウエアも含め)がアメリカで見直されているとのこと。日本人が気が付かない日本の強みでした。

コーヒーもワイン化、つまり汎用品と超高級品が共存するようになる可能性もあるとのこと。深いですね。


写真はエチオピアでのコーヒー作成風景です。一杯、25円~50円ぐらい。一日に何杯も飲みます。エチオピアは世界5位の産出国で、年間の生産量40万トンうち半分が国内消費、残りが輸出、一時期、残留農薬問題で輸出ができなくなりましたが、今は正常化しています。ただし、トレーサビリティ(生産者履歴)の強化が課題のようです。

f:id:big5elec:20130604173404j:plainf:id:big5elec:20130602222200j:plain写真は2013年となっていますが2014年の設定間違えです。

トップレフト 都銀VS米国投資銀行 日本には総合商社があった

トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)

トップ・レフト―都銀vs.米国投資銀行 (祥伝社文庫)

日本のメガバンクはアメリカの投資銀行にはなれなかったが、その代りが総合商社だったことが理解できた。

しかし、昔の、といっても10年ぐらいまでのものだが、文庫本は字が小さく読みにくい。

再生巨流 アスクル? カカクコム? コスモスベリー?

再生巨流 (新潮文庫)

再生巨流 (新潮文庫)

新規事業の立ち上げ物語。出版されたの、9年前の平成17年とのことだが、よくその当時からここまで描けたなと何回も感じた。

運送会社の「やり手営業マン」の主人公は、仕事ができすぎる故に新規事業開発部という、聞こえはよいがリストラ予備軍の部署に左遷させられる。そこで年間4億円の新規ビジネスを立ち上げるための奮闘記。アスクルとカカクコムとヤマダ電機の子会社で零細家電小売りをネットワーク化したコスモスベリーを集大成したようなビジネスモデルを立ち上げるまでのお話。

読みどころは、京都の「社主」に捨て身で談判に行くところか。




「アフリカッ!」

アフリカッ!

アフリカッ!

「僕らが新しいビジネスモデルを自分たちで作るしかないだろう」
「言うは易しだよ。あれこれやり尽くしてあとは衰退って感じだな」
「じゃ、アフリカには未来があるてっか?」
「.....ある....たぶん、いや絶対」

アフリカに取り組む若者とベテラン、中国企業のしたたかさと危うさ、などの描写がとても良い。

資源でも援助でもなく、エンタメと儲かる農業。そうきたか、でもやっぱりそうか。

エチオピアに行く前に読むべきだったが、行った後でも十分な価値があった。